何犬だ。三重県です。
私(ワカちゃん)とケンちゃんがお父さんから聞いた話です。
お父さんが子供の頃、と言ってもお父さんが小学の低学年の話
ですから今から50~60年前のことです。尾鷲市でドッグシ
ョーがありました。お父さんの家では雑種のワンちゃんを飼っ
ていたのですが、そのワンちゃんをドッグショーに出すことに
なりました。というのは、近所に紀州犬を飼っている家があり
ましてその犬が前回のドッグショーで2位に入ったそうです。
そうしたら犬の業者がその紀州犬を50万で譲ってくれないか
と言ってきたそうです。お父さんのお父さん(私のおじいちゃ
ん)は公務員でしたが月給は3万円でしたからかなりの高額だ
と思います。近所のおじさんがおじいちゃんに言うにはドッグ
ショーで1位になれば100万の価値がつくというのです。
さらに、お宅のワンちゃんは雑種だけど元気があるからいいと
ころまでいくんじゃないと持ち上げられおじいちゃんは舞い上
がってしまいました。
お父さんの家から尾鷲市までは20㎞ほどあったのですがお父
さんたちは朝早くに家を出て国道42号線をひたすら歩きまし
た。42号線も今のように舗装されていません。車が通ると砂
ぼこりで体中真っ白になります。やっとの思いで尾鷲に着いた
のは昼過ぎでした。ドッグショーはもう始まっていました。
審査員の人はお父さんのワンちゃんを見るとこう言いました。
お父さんはいまでもその目を覚えているそうです。よくこんな
犬を連れてきたなというような目をして「これ何犬ですか?」
今のようにプードルもシーズーいなかった時代です。おじいち
ゃんは紀州犬しかしりません。困って、申し訳なさそうに答え
ました。三重県(犬)です。