カラスの赤ちゃん、たいへんだ
私はカラスの赤ちゃんのカウちゃんです。
私は今、四日市の日本ペット文化学院の前にある電柱の上にい
ます。もちろん赤ちゃんですから、飛ぶことはできません。
生まれた時から、ずーとここにいるのです。つまり、私のお父
さんが電柱のてっぺんに巣をつくったのです。世間知らずの私
は、自分の身に危険が迫っていることなど知る由もなく、赤ち
ゃん生活を満喫していました。ところが、ある朝ばかに下のほ
うが騒がしいのでのぞいてみると、電力会社のおじさんが高所
作業車に乗り日本ペット文化学院のお母さんに「電柱の上のス
ズメの巣を取り除くので駐車場での作業を許可してください」
などと恐ろしいことを言っているではありませんか。第一私は
スズメじゃないちゅーの。するとお母さんは「赤ちゃんもいる
ことだし、赤ちゃんたちが飛び立ってから撤去したらどうです」
と言ってくれました。しかし、電力会社のおじさんは「鳥の糞
が配電盤に落ちたりすると停電ということになるのですよ。鳥
の赤ちゃんと停電とどっちがたいせつですか」と脅します。
するとお母さんはきっぱり「鳥の赤ちゃんです」。
電力会社のおじさんはすごすご引き上げていきました。